オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

日本のジャーナリストたちよ、これを見よ〜Netflix『グレート・スクープ』プラス4

 
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Netflixで『グレート・スクープ』鑑賞。

 

 2010年、ニューヨーク。ある瀟洒な建物から連れ立って出てきた2人の中年男性を、あるパパラッチがカメラに納めていました。一人は故エリザベス一世の第三子ヨーク公アンドリュー王子、もう一人は悪名高き少女売春の性犯罪者ジェフリー・エプスタイン。9年後、エプスタインは性的人身売買のかどで起訴されましたが、拘置中に首吊り自殺。当時、アンドリュー王子がエプスタイン主催の少女たちとの乱交パーティに参加していたのではないかという噂が巷間に出回っていたものの、エプスタインの死によって立ち消えになるかと思われていました。そんな矢先、BBCの報道番組『ニュースナイト』の記者であるサム・マカリスター(ビリー・パイパー)が9年前の写真を入手、アンドリュー王子が性加害に加担していたことを確信し、番組責任者であるエスメ・レン(ロモーラ・ガライ)やメインキャスターのエミリー・メイトリス(ジリアン・アンダーソン)と共に取材に乗り出しますが……。


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※体当たり取材が身上のサム・マカリスター(ビリー・パイパー)。その強引さは『ニュースナイト』のスタッフたちとの間に様々な軋轢を生みますが…。

 

 『ニュースナイト』は2019年11月にアンドリュー王子の独占インタビューに成功しますが、インタビューの中で王子は一欠片の謝罪の言葉もなければ反省の色も見せず、英国民の王子に対する不信感は頂点に達し、ついにアンドリュー王子はエリザベス一世から王族権を剥奪されるに至ります。


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※『ニュースナイト』のキャスターを務めるエミリーは、華やかな容姿と優れた才能を持っているにもかかわらず、どこか自信無さげで「上がり症」。同じくNetflix『ザ・クラウン』の当たり役サッチャー首相とは正反対のキャラを巧みに演じました。

 

 古くは『大統領の陰謀』(1976年 アラン J パクラ監督)『スポットライト 世紀のスクープ』(2015年 トム・マッカーシー監督)、『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』(スティーブン・スピルバーグ監督 2017年)、『SHE SAIDシー・セッド その名を暴け』(マリア・シュラーダー監督 2022年)等に続く、巨悪を暴くために奮闘するジャーナリストたちを描く「事実に基づく物語」の1つです。


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※アンドリュー王子の秘書官エミリー。憧れの英王室に勤務し、アンドリュー王子に心酔していた筈が、BBCの取材によって王子の「真実の顔」が暴かれるにつれ、次第に絶望していきます。演じるのは、英国のドラマ・映画に欠かせない名女優キーリー・ホーズ。

 

 「事実に基づく物語」ですから、事の顛末はわかっている筈なのに、ジャーナリスト生命を賭けて真実を追及する『ニュースナイト』のスタッフの奮闘ぶりはスリリング且つ感動的❗(当時BBCは経営困難に陥っており、『ニュースナイト』の制作スタッフたちもリストラの危機に晒されていた)ストーリーと平行して、物語の要となる3人の女性(サム、エミリー、アマンダ)夫々の、キャリアを持つ女性の生き方が交差していく展開も良かったですね。

 

 先に挙げた4作品同様、王室という英国で最も強大な、アンタッチャブルな権力に挑んだジャーナリストたちの気概を見せつけられるにつけ、忖度まみれの日本のジャーナリズムの惨状に暗澹たる思いがします。

 

 日本のジャーナリストたちよ、あなたたちの存在価値は、強大な権力の裡に隠された闇を白日の下に曝け出すこと。芸能人の些末なスキャンダルばかり追いかけて小銭稼ぎばかりしてないで、ちっとは本気見せたらどうなん❓(笑)

 

★今日のおまけ……ジャーナリストの奮闘を描いた映画4選

大統領の陰謀


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言わずとしれた名作。ウォーターゲート事件の真相を突き止め、時の大統領ニクソンを失脚にまで追い込んだワシントン・ポストの記者カール・バーンスタインダスティン・ホフマン)とボブ・ウッドワードロバート・レッドフォード)の回顧録を映画化。

②スポットライト 世紀のスクープ


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 2001年。当時のボストン・グローブ紙の編集局長バロンが、神父による子供への性的虐待事件が多発していることに着目。同紙の特集記事欄「スポットライト」を担当する4人の記者たちが、事件の深層を探り、カトリック教会という世界最大のタブーに切り込んでいきますが……。

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書


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 リチャード・ニクソン大統領政権下の71年、ベトナム戦争を分析・記録した国防省の最高機密文書=通称「ペンタゴン・ペーパーズ」が存在した!分析によれば、アメリカの劣勢は明らかであったにもかかわらず、時の政府はそれを隠蔽、多くの若者を戦場に送り続けたのです。ニューヨーク・タイムズが最初にスクープしましたが、大きな圧力がかかり、差し止め処分に。その後ライバル社のワシントン・ポストは残りの全文書を入手しますが、その発表を巡って社内は対立し…。

 

④SHE SAID シー・セッド その名を暴け


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 2017年10月5日、ニューヨーク・タイムズに1つの記事が掲載されました。「ハーヴェイ・ワインスタインが数十年にわたりセクハラ告発者を買収」という記事は、映画界の超大物でミラマックス社のCEOだったワインスタインが長年にわたり社のスタッフや女優たちに対して行ってきたセクハラ行為やレイプの数々を白日の下に晒し、アメリカ全土を震撼させました。この記事がきっかけとなって、その後#Me TooあるいはTime’s Upの一大ムーブメントに発展したのは周知の通り。ニューヨーク・タイムズ報道部記者ジョディ・カンター(ゾーイ・カザン)とミーガン・トゥーイー(キャリー・マリガン)が協力取材し、共に記事を執筆するに至るまでを克明に描いた映画。

 

 

 

 

 

Let's Go Us!〜Number_i in Coachella 2024

 
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 大成功のうちに終わったNumber_iのアメリカ進出。彼らが作り上げた楽曲とパフォーマンスは卓越したもので、十分世界的な水準にあるということは、彼らがデビューした時から明らかではあったけれど、それを実際に世に知らしめるためには、さらに天の刻と地の利、そして人の和が必要でした。彼ら3人のCoachella出演は、まさにその「天・地・人」がぴったり揃った結果だと、その僥倖に胸が震える思いがします。

 

 SNSの発達により、以前は極東の謎めいた国だった日本の、特異な文化が広く世界の人々に知られるところとなり、19世紀フランス以来のジャポニスムが起こりつつある昨今、アジアの音楽を世界に知らしめたいという高い志を持つ88risingに見出され(天の刻)、ヒップホップの本場アメリカのフェスで、まさにNumber_iの目指す独自のジャパニーズ・ヒップホップ2曲を披露することができたこと(地の利)。そしてそして、日本のファンの熱い熱い応援の中、なんとなんと世界進出したアジア人アーティストとしては大先輩にあたるジャクソン・ワン氏とのコラボが実現したこと(人の和)。この、分かち難い「三位一体」は、アメリiTunesで総合10位、ヒップホップ部門1位という結果を生み出した!これを奇跡と呼ばずしてなんと呼ぼう。





 Number_iの御三方がまたね、この三位一体を十分理解していて、感謝の姿勢をいつも忘れないところが胸アツです。88risingのCEOであるMr.Miyashiroは日系アメリカ人で、アーティストに求めるのは唯一無二の個性と、善良な人柄とのこと。Coachellaステージでジャクソンを迎い入れる時にさっと舞台の上を綺麗にし、去った後には彼のマスクをそっと片している3人の姿を見るにつけ、Number_iはMiyashiroさんが求める人材そのものだと思いましたね。才ありてなお、君子の人格が必要ということでしょうか。また、Number_iのファンがこぞってジャクソンさんのSNSに「コラボして下さってありがとう!」「彼らが注目されたのもジャクソンさんが紹介して下さったお陰です」って書き込んでいて…。(かくいうヲタクも恥ずかしながら書き込みをさせて頂きました。ジャクソンさんご自身のSNSには恐れ多くて書き込めず、ファンサイトのほうに…^^;)そうしたら、ファンサイトの運営者の方が「日本のファンって、なんてスイートな人たちなの!こんなこと初めて」って感動して下さった。これも1つの「人の和」。Number_iを推してるお陰さまで、国を超えてこんな繋がりができるなんて不思議。


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 以前の記事でヲタク、「彼らを信じてついて行けば、今まで見たことのない壮大なパノラマを見せてもらえる」って書いたけど、それがこんなに早く実現するなんて……。平野くんもちゃんと出発の時「Let's Go US」って言ってくれてたね。「行ってきます」じゃなくて。私たちも一緒に参加したんだね、Coachellaに。

 

 さあ、彼らは次にはどんな素敵な景色を見せてくれるんでしょう。ワクワクが止まらない!

【悲報】おとぎ話は続かない〜映画『プリシラ』


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 みなとみらいのミニシアター「KINOシネマみなとみらい」にて、『プリシラ』(ソフィア・コッポラ監督)鑑賞。

 

 恋も何も知らない純粋無垢な14歳の少女の前に突然、イケメンで長身の、白馬に乗った王子様が現われました。たちまち2人は恋に落ちて、王子様は彼女が大人になるのを辛抱強く待ってくれて、彼女が22才の時、周囲の祝福を受けて結婚式を挙げました。そして2人は末永く幸せに暮らしましたとさ。

 

……と、そう上手くは人生運びませんでした、というお話(笑)

 

 とまあ、こう書いてくると身も蓋もないんですが(^_^;)、キング・オブ・ロックンロール、エルヴィス・プレスリーの妻だったプリシラが、14才(!!)の時にエルヴィスに出会い、結婚、出産を経て、結果的に28才で離婚に至るまでの過程を描いた作品です。

 

 2年前にオースティン・バトラーがエルヴィスを演じた、バズ・ラーマン監督の『エルヴィス』にどハマリして、映画館で何度もリピしたヲタクとしては、妻のプリシラの視点から描いた2人の短い結婚生活は、とても興味深かった。出会った時に既に大スターだったエルヴィスは、何にも染まっていない、まるで真っ白なキャンバスのようなプリシラを「自分好みの女」に染め上げようとします。17才でメンフィスの「エルヴィス御殿」に迎い入れられたプリシラは、なんと結婚するまでの5年間、エルヴィスと同居していたんですね🫢……これってまるで光源氏と紫の上みたいだよね。今のご時世なら犯罪モノですが、舞台は平安時代の日本じゃなくて、1960年代のアメリカっていうのが、またまたビックリです。マスコミ対策の為、高校に通うほかは、プリシラはまるで軟禁状態。バイトはおろか、友達を家に呼ぶことも禁止。ツァーや映画撮影で長期間留守にし、たまに戻ってくるエルヴィスは、プリシラに「家の灯火を絶やさないようにしてくれ」(⇐このセリフもいまいちイミフだが 笑)と言って外出を禁じた上、髪の色から服から細かく注文を出します。新曲の意見を求められたプリシラが「何だかピンと来ない」と言おうものなら、モノが飛んでくる始末(^_^;)自分から聞いといて、モノ投げるなよ…。かようにイケメン王子は姫に対して、彼に対する盲目的な崇拝を強要するのでした。エルヴィスが、映画で彼の相手役を務めたウルスラ・アンドレスを「ゴツくて男みたいな女。亭主(監督・俳優のジョン・デレク)が最悪だ」、アン・マーグレットを「したたかで出世しか眼中にない」とディスってる場面が出てきますが、キング・オブ・ロックンロールは何らかのコンプレックスがあったのか、よほど自分の思いのままになる、か弱い女性がお好みだったもよう。ウルスラはドイツ人、アンはスウェーデン人なので、2人とも体格も立派なのよね(^_^;)

 

 エルヴィスの自分に対する感情は、決して愛ではない、アダルトチルドレンの独占欲と支配欲だと次第に気づき始めるプリシラ。その辺りは、同じ女性として、見るのが辛くて切なかったな。当のエルヴィスは、プリシラが意を決して別居を切り出してもぽかんとして、「何でだよ?君は誰もが羨む対象なのに。(キング・オブ・ロックンロールの妻なんだぜ)」と、彼女の気持ちを最後まで理解できないし。実際のプリシラは、趣味が空手…というところから見ても、芯の強い自立型の女性だったみたいですね。まあ原作はプリシラご本人の著書だし、映画の監修も務めているから、多少美化されている嫌いはあるかもしれませんが……。


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※エルヴィス好みの服や髪型に身を固めた時代(左)から、自分らしく生きるため家を出る頃のプリシラ(右)。彼女の心境の変化は、ファッションにも表れています。

 

 ヒロインを演じたのは、ケイリー・スピーニー。ヲタク的には、ケイト・ウィンスレットが神演技を見せ、エミー賞で16部門にノミネートされたHBOのドラマ『メア・オブ・イーストタウン / ある殺人事件の真実』でケイトの娘役を演じた時の印象が強いですが、あれからさらに演技も磨いたようで、この作品では、プリシラがエルヴィスとの愛と結婚生活の真実を知り、怒りと絶望から諦観、そして自立に至るまでの過程を繊細に演じ切り、昨年度(2023年)のヴェネツィア映画祭で見事主演女優賞を獲得しました。


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※エルヴィスを演じたのは、ジェイコブ・エロルディ。オースティン・バトラーと違ってさすがに唄うシーンはなかったけど、エルヴィス特有の籠もったような南部訛りは完コピしてましたねぇ。ヲタク直近で彼を見たのが『ソルトバーン』(Amazonプライムオリジナル)でのオックスフォードの学生役だったから、よけいその落差に感動しました。(彼自身はオーストラリア人)

 

 なにせ監督がソフィア・コッポラなんで映像やセットがめっちゃキレイだし、1960〜1970年代のファッションもお洒落で素敵、それだけでも一見の価値アリ!

 

★今日の小ネタ

 エルヴィス役のジェイコブ・エロルディの元カノは、トップモデルのカイア・ガーバー。んで、そのカイアが現在熱烈交際中なのが、映画『エルヴィス』でタイトルロールを演じ、アカデミー賞にもノミネートされて一躍ハリウッドのトップランナーに躍り出たオースティン・バトラー。「2人のエルヴィスと付き合った女」カイア・ガーバー(笑)


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※仲睦まじかった頃のジェイコブ・エロルディとカイア・ガーバー(左)。右は、只今真剣交際中と言われるカイアとオースティン・バトラー。

 

★おススメ度…★★★☆☆

それでもあなたのことはキライになれないわ、エルヴィス❤

「渋谷の交差点」を愛する探偵〜AppleTV+『シュガー』のコリン・ファレル


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 コリン・ファレルが私立探偵を演じるミニ・シリーズ『シュガー』(AppleTV+)。今日(2024.4.12)の時点でシーズン1の第3話まで配信中。今後は、毎週金曜日に新しいエピソードが追加されるもよう。

 

 主人公は、ワケありの私立探偵ジョン・シュガー(コリン・ファレル)。フィリップ・マーロウと同様、「人探し」が専門。人探しをしているうちに、もっとだいそれた犯罪に否応なしに巻き込まれていくのもマーロウっぽい。オマージュなのか、はたまたパロっているのかわからないんですけどね(笑)シュガーは複雑な過去を持つ男のようですが、まだ今のところ彼自身が抱える秘密については明らかになっていません。

 

 ハードボイルドの探偵モノには、主人公の、ちょっとカッコつけた、独特のモノローグがつきもの。マーロウの生みの親、レイモンド・チャンドラー然り、北方謙三然り、原リョウ然り。シュガーもエピソードの半分くらいはブツブツ呟いてるんじゃないかな(^_^;)

 

 1話のオープニングではなんと、彼は東京にいて、大物ヤクザの息子誘拐事件の犯人を追っててビックリ🫢(え?『Tokyo Vice』みたいに日本が舞台なん!?)とヲタクは早トチリしかけましたが、事件は10分で解決して、シュガーは早々にロスに戻ってきちゃいました(笑)しかしエピソード3で彼は昔の同僚に向かって、「渋谷の交差点を知ってるか?世界で1番美しい場所だ。2分おきに3000人が渡るんだ。歓びや悲しみ、怒りが1度に交差する」と語っており、東京という街は、彼の心に消えない爪跡を残したようにも見えるのです。渋谷のスクランブル交差点が単に彼の心象風景の象徴なのか、これからのストーリー展開に関わってくるのかわからないんですが…。

 

 東京での件に引き続き彼が依頼されたのは、ハリウッドの大物プロデューサー、シーゲルの失踪した孫娘オリヴィアを探し出すこと。オリヴィアは長年の薬物中毒から立ち直り、再出発をしようとしていた矢先のことでした。早速、オリヴィアの父親でやはり映画プロデューサーのバーニーや兄のデヴィッドに事情を聞こうとするシュガーでしたが、彼らは話をするどころか、かえってシュガーの捜査の妨害をしかけてきます。どうやら彼らには、探られては困る秘密があるようです。そんな折も折、オリヴィアがアパートメントの駐車場に置いたままにしてある車のトランクを調べていたシュガーは、血だらけの男の死体が入っているのを見つけて……!

 

 シュガーは熱烈な映画ファンという設定で、昔なつかしハンフリー・ボガートの『3つ数えろ』(……たぶん^^;)をはじめとするハリウッドのモノクロ・ハードボイルド映画の名シーンが度々登場したり、彼の携帯しているのが、映画『復讐は俺に任せろ』でグレン・フォードが使った銃だったり……と、映画関連の小ネタ満載で、ヲタク的には嬉しい限り。

 

 ハリウッド1のセレブであるシーゲル家の面々は皆怪しいやつらばかりで、謎が謎を呼ぶスリリングな展開となっておりますが、1番の謎はシュガーその人。冒頭から、フィリップ・マーロウに寄せて彼を描写していたのが、観ている私たちをミスリードする為の目くらましだということがだんだんわかってきます。実は彼は連邦政府機関で多言語を修得したポリグロットのエリート。銃の携帯を嫌がる平和主義者で、ライ・ウィスキーは飲んだことなくて普段嗜むのはスコッチ……って、どう考えてもロスの探偵じゃなくない?(笑)

 

 失踪したセレブの孫娘の行方より、シュガー本人が気になる今日この頃。最後にとんでもないどんでん返しが待っていそうで、めっちゃ楽しみ!

 

 

 

女性は黒衣(くろご)!?意外性がクセになる〜Number_i『Blow Your Cover』MV

 
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 『Blow Your Cover』MVついに公開!!

 

 Teaserで、さんざんteased(焦ら)された私たちは、『GOAT』に引き続きまた、Number_iに新たな世界への扉を開いてもらった気がします。

 

Fly me to the Moon.

Fly me to the New World.

 

『BYC』の歌詞は、男女の濃密な一夜を連想させる、割と具体的なものだけど、MVで映像化するにあたり、相手の女性のヴィジュアルを人形浄瑠璃の黒衣(くろご)のように見立てて、スタイリッシュな映像であえて抽象化したのは大正解だと思いました。(監督はPerfumeの一連のMVを手掛けている田中裕介氏)歌詞を具象化するのがMV……という思い込みが打ち砕かれた(^_^;)

 

……いやだって、これがね、EXILEの『Ti Amo』のMVみたいだったらどうしようって思いましたもん(^_^;)当時、スカパラの谷中さんのファンだったから、初めて見た時はかなーりショックでした。まあ、Number_iのことだから、そんなことはないとは思ってたけど、一抹の不安は残ってましたから。

 

 ヲタクは、エロティシズムって各人の想像性の領域に属するものだと思ってるから、映像で激しい濡れ場とか見せられてもかえって興醒めすることが多いんです。一方『BYC』のMVにおける三者三様の「後朝(きぬぎぬ)の表現」……神宮寺くんの虚無感、平野くんの濡髪と指先、岸くんの慟哭…は、観ているこちら側のイマジネーションを、否が応でもかきたててくれた!神宮寺くん、「表情がとても大事。繊細な表現が必要になってくる」って言ってましたものね。彼らの表現にはいつも、水墨画のような、あえて全てを語らない「余白」みたいなものがあって、日本古来の奥ゆかしさがとても上品に思えます。

 

 『Blow Your Cover』のMVは、Number_iが一流のアーティストでありパフォーマーであると同時に、優れた演技者であることを証明してみせた作品ではないでしょうか。

 

Blow Your Cover https://g.co/kgs/Xkoo3os

『Blow Your Cover』Teaser〜「Number_iは焦らすから!」

 
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 Number_iの2ndシングル『Blow Your Cover』の配信開始が間近に迫る中、待望のTeaser公開!!

 

 おー、今度はそう来たか〜!

 

 1stシングル『GOAT』のMV(児玉裕一監督)は、その歌詞のシュールな世界観をそのまま映像化したような、タイムリープありマルチバース?ありの目眩く作品でした。一方『Blow Your Cover』は歌詞を追っていくとかなり具体的で、聴いている側が割と容易にそのシチュエーションを想像できます。だからヲタクも、以前書いた記事『現代の後朝(きぬぎぬ)の歌』の中で、「素性がわからずに一夜を共にした相手を偲ぶうた」としてみました。つまり「Blow Your Cover」は、「君は本当はどんな人なの?君の内面が知りたいんだ」というふうに解釈したわけです。

 

 ところがところが、Teaserの画面に登場したのは、黒いヴェールで顔を覆っている謎の女性。あえて具体的なシチュエーションを提示しないとこがニクイ。文字通り「Blow Your Cover」って声をかけたくなるものね。ヲタクはこの歌を初めて聴いた時、御簾(Cover)を払う(Blow)ことで成就する平安貴族の恋を連想してしまいましたが、その連想もあながち突拍子もないわけじゃない!……かもしれない(笑)はたまたイスラムのヒジャーブ?Number_iの楽曲は、それこそ空間も時間も一気にワープさせて、私たちをいながらにして異次元に連れて行ってくれる。

 

Fly me to the Moon, Fly me to the New World.

 

 こんなふうにオタクたちの妄想を烈しく掻き立てるのも、Number_iチームの心憎い作戦ね。Teaserのteaseは、「焦らす、からかう」といった意味。まさに「Number_iは焦らすから!!」(by 北山宏光

 

でもいいの。彼らに焦らされて翻弄される感覚がたまんないんだもん。……って、どMか、じぶん(笑)

 

 

Blow Your Cover https://g.co/kgs/Mda8hQU

じんわり癒やされるバス・ドゥヴォス監督のベルギー映画『Here』


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 横浜黄金町のミニシアター「ジャック&ベティ」で、ベルギー映画『Here』鑑賞。

 

 ヲタクはかつて丸5年間、ベルギーで暮らしたことがあるので、(あー、あのレンガ造りの家ベルギーっぽい!)とか、街の中心を離れるといきなり森になるベルギーの風景…etc.を見ているだけで胸がいっぱいになって涙が溢れそうになり、困った、困った(笑)……それに、バス・ドゥボス監督が描き出す小世界は繊細で、心地よくて……。

 

 ベルギーの首都ブリュッセルで建設労働に携わるルーマニア移民のシュテファン(シュテファン・ゴタ)。きつい労働や、ルーマニア人しか友達がいない孤独な日常に疲れ、長い休暇をとってルーマニアに帰国する予定だけれど、頭の隅では、(もう、戻ってこれないかもしれないな…)とぼんやり考えているようです。シュテファンは姉や友人たちへ、別れの挨拶代りに、冷蔵庫の残り物で作ったスープを配って回ります。ある日、森を散歩していた彼は、以前中華レストランで出会った中国系ベルギー人の女性シュシュ(リヨ・ゴン)と再会します。シュシュは植物学者で、苔の採取に来ていたのでした。植物の素晴らしさを丁寧に説明してくれるシュシュの優しさに触れ、荒んだシュテファンの心も次第に柔らかく溶けていって……。

 

 九州ほどの面積しかないのに、フランス語、オランダ語、ドイツ語の3ヶ国語が公用語で、移民の受け入れも昔から寛容だった為に、多種多様の民族が暮らすベルギー。中国人をはじめタイ人、フィリピン人などアジア系移民も多く、お陰で私たちが住んでいた頃も近所の人や娘たちが通う学校のお母さんや先生など皆親切で、アジアンヘイト等とは無縁の暮らしでした。しかしシュテファンは、看護師として働いているお姉さん(ベルギーに来て家庭を持って、子供もいる)に「休みの日はやることないから、外に出て疲れるまで歩き回って、帰ってきて寝るだけ。もうそんな暮らしに疲れたんだ」って愚痴るんですね。うーん、彼の気持ちもよくわかる。お姉さんと違って彼は独身だから、なかなか人間関係が広がらないんですよね。ベルギー人はだいたい親切で、あからさまに人種差別してくるような人はほぼいないけど、だからといって孤独感が癒やされるわけじゃないものね。


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※その穏やかさと優しさで、シュテファンの乾いた心を癒やすシュシュ。

 

 そんな彼がシュシュと一緒に森の中を歩き回って、木々と擦れ合う音に耳を澄ませ、木洩れ陽に目を細め、突然の雨に驚いて走り出すうちに、表情まで柔らかくなっていく様子を見るのは、気持ちよかった。何だかこっちまで、日々感じてる小さな苛立ちや負の感情が洗い流されていくようで。彼がベルギーに再び戻ってくるかどうかはわからないけど、異国での暮らしが、寂寞としたもので終わらなくて、本当によかった。

 

 見ているこちらまでシュテファンと一緒に森林浴でマイナスイオンを浴びた気持ちになる……一種のヒーリング・ムービーでしたね(笑)

 

 

ジョニデの"je t’aime"が心に刺さる〜『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最後の愛人』

 
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 横浜黄金町のミニシアター「ジャック&ベティ」で『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最後の愛人』鑑賞。

 

 絶世の美男で「最愛王」と呼ばれたルイ15世。その王が最も愛したのは、極貧の家庭に生まれ娼婦同然の暮らしから持ち前の美貌と才気で貴族社会の階段を駆け上り、ついには王の公妾(公式の愛人)となったジャンヌ・デュ・バリー。彼女の栄光と没落、波乱に満ちた生涯を描いた作品です。

 

 フランスの才女マイウェンがデュ・バリー夫人に入れ込んで脚本・監督・主役を務めたというこの作品。うん、わかるよ、彼女の気持ち。今ドキ自立した女子のトレンドは、フランスはマリー・アントワネットよりデュ・バリー夫人、英国はメアリ・スチュワートよりエリザベス一世オーストリアプロイセンはシシーこと皇妃エリザベートよりエカテリーナ二世だもんね。生まれながらに全てを与えられて富と栄光を享受したお姫さまより、自らの手で権力を勝ち取った成り上がりのほうがカッコいい。


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※衣装担当はシャネルだそう。衣装を見ているだけでもタメ息が……。

 

 かようにパワフルなマイウェン姐さんに相対するは、ジョニデ・ザ・カリスマ。権力に媚びることや悪しき因習を嫌い、自分自身にウソをつくことを嫌う自由奔放なデュ・バリー夫人をだからこそ面白がり、愛するようになる度量の大きな一人の男を巧みに演じています。

 

 式典の時の姿は白塗りにモリモリカツラ、唇にはルージュ姿で、『女王陛下のお気に入り』(ヨルゴス・ランティモス監督)でニコラス・ホルトを初めて見た時と同じくらい気持ちが萎えたけど(マイナーすぎる比喩ですみません 笑)、そこはそれサスガのジョニデ、ストーリーが進むにつれ、彼の演技にどんどん引き込まれることに。ジョニデというと、ちょっとヒリヒリしたエッジーな演技が特徴でしたが、こういう悠揚迫らぬキャラもいけるんだねぇ……。彼の新たな一面を見て、目の覚めるような想い。


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台詞はもちろん全編フランス語。しかも18世紀のフランス語!!

 フランス語は元々少し話せるけれど、発音を正確にするためにコーチに特訓を受けるようなことはしなかった。それよりも出来るだけ自然な形で言葉が口から出てくように共演者の演技を集中して観察するようにした。おかげで即興で言葉を弄び、相手と会話を楽しむ自由を手に入れることができたね。

サスガの余裕です(^_^;)

 

 フランス語って元々音楽的な言語(ヲタクはワケあって高校3年+大学2年フランス語を学びましたが、悲しい哉殆ど身に付いておりません 笑)で、ジョニデは音楽やる人だから修得も早かったのかも。

 

 今度はフランス語で、エッジーなジョニデに立ち戻って頂いて、『死刑台のエレベーター』や『サムライ』みたいなフィルムノワールはいかがかしら?もっとセクシーさが増すと思うわ٩(♡ε♡ )۶

 

 

日本人ならよくわかる……A24 『パストライブス/再会』


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 桜木町駅前のシネコン「ブルグ13」にて、『パストライブス/再会』鑑賞。

 

 韓国ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソンは、テストの成績を競い合うライバルであり、同時に、お互い淡い恋心を抱いていました。しかしノラの両親は映画監督と画家で、海外進出の第一歩として※カナダへ移住することを決意、2人はある日突然離ればなれになることに。そして12年後、24歳となったノラ(グレタ・リー)はニューヨークに単身住み、若き舞台脚本家として頭角を現していました。一方、ヘソン(ユ・テオ)は自宅からソウルの大学に通う学生。偶然にもSNSで再会した2人は懐かしさから度々Skypeで会話をするように。しかしヘソンは、若く有望なアーティストの為の研修講座に受かったノラから「しばらく距離を置きたい」と告げられ、再び2人の距離は遠のいてしまいます。さらに12年が経ち、36歳となった2人。ヘソンは恋人との別れを経て、企業に勤めるサラリーマン。ノラは既にユダヤアメリカ人作家のアーサーと結婚していました。そんなある日、突然ヘソンから「会社の休みを利用してニューヨークに行く」という知らせを受け取ったノラは、彼の真意を計りかねて戸惑いますが……。

※ノラの両親も職業柄本当はアメリカ、特にニューヨークに移住したかったと思うんですが、ご存知の通りグリーンカード取得は(ビザでさえ)至難の業。それに比べるとカナダの永住権を取得するのは割と容易なので、こういう決断になったかと思われます。

 

 祖国を出てアメリカに暮らすアジア人の複雑な感情を描いた作品としては同じA24の『フェアウェル』があるんですけど、『フェアウェル』のヒロイン(オークワフィナ)は2世で、中国人の顔はしていても中身は完璧アメリカ人、12歳の多感な時期に海外移住したノラとはちょっと違いますね。ノラは夫から「君の寝言は今も韓国語ばかり。英語は聞いたことない」と言われるくらい、アメリカと韓国の間で揺れ動いているところがあって、より切ない。ひたすら初恋の少女を追い求めるヘソンとは違って、彼女のヘソンに対する感情は、言わば生まれた国に対する望郷の念とミックスして、もっと複雑なんですよね。しかも彼女にはニューヨークで舞台脚本家として成功したいという野心があって、アーサーとの結婚を急いだ一因も、早くグリーンカードを取得したかったからというところにあるし。前出の『フェアウェル』や、同じくA24の作品で、昨年度のアカデミー賞を総ナメにした『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』と同様に、アメリカにおけるアジア系の移民事情が透けて見えて興味深かったな。

 

 題名にもなっている「Past Lives(前世)」。今生で巡り合う為には八千層の前世の縁が存在する……という韓国の言い伝えからとったもののようです。この仏教的な「輪廻転生」説は、樋口一葉の小説の一文「袖すり合ふも他生の縁(道ですれ違い袖をすり合っただけの人でも、前世では深いご縁があったのだ)と聞くを、仮初(かりそめ)ながら十日ごしも見馴れては他処の人とは思はれぬに」にもあるように、私たち日本人にはとても馴染みの深いものですが、欧米の人たちから見ればエキゾチックで物珍しく感じられるのかもしれませんね。

 

 個人的には、24才の時のノラの韓国語が、「ちょっとおかしい」ってヘソンに指摘される場面。ノラが「だってしょうがないよ。家族としか韓国語喋れないんだから」って答えるんですけど、それにヲタク、ぎくっとしました。ヲタクは夫の仕事の都合で娘2人が2歳と4歳の時にベルギーに移住して、丸5年間暮らした経験があります。彼女たちは現地の小学校(公用語オランダ語)に通っていたのですが、3年、4年と経つうちに彼女たちの言葉がオランダ語と日本語ミックスの妙な言葉になってきて…。(彼女たちはいったい、日本語とオランダ語のどちらをベースにものを考えているんだろう?)と思ったら空恐ろしくなってきて、赴任期間はまだ継続する筈でしたが、強硬に会社側と掛け合って私たち母娘は一足先に日本に帰国させてもらいました。日本人は英語が不得意だから早期教育を……って説もありますが、経験上絶対反対です。……って、何の話してたんだっけ(笑)

 

 ヘソンを通して、祖国に恋慕の情を抱きながらも、改めて自らの意志で、アメリカの地で生きることを選ぶノラ。彼女の想いを受け入れて、別れを告げるヘソン。そんな2人の想いが観ている私たちの胸に刺さる。

 

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』と切り口は全く違うけど、下馬評通り来年のアカデミー賞、けっこういいとこ行くかもね♬

 

★今日の小ネタ…グレタ・リー&アンドリュー・スコット

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 以前当ブログで掲載した写真、使い回し〜〜(笑)昨年度ゴールデン・グローブ賞アフターパーティ時のグレタ・リー(左…顔見えないけど 笑)と、我が熱烈推しアンドリュー・スコット(最近Netflixでミニシリーズ『リプリー』が配信開始となり、特に熱が上昇中)のツーショ。確か2人、共演経験ないはずだけど…久しぶりに会った旧友って感じね。ご両人とも、ホワイトの装いがステキ。

 

 

 

 

大人の為の大人による大人のロマコメ〜『ブルックリンでオペラを』


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 桜木町駅前の「ブルグ13」にて、『ブルックリンでオペラを』鑑賞。

 

 予告編によれば、舘ひろし柴田恭兵の『あぶデカ』が久しぶりに帰って来るとか。なんと「ブルグ13」が入っているビル・コレットマーレ爆破計画が持ち上がり、2人がそれを阻止する為に大暴れ……ってストーリーらしい。今は刑事を引退して探偵稼業らしいので、正しくは『あぶデカ』ならぬ『あぶタン』かな?(^_^;)昨年の映画『TOKYO MER〜走る緊急救命室』ではランドマークタワーが爆破されてたし、みなとみらいも近頃物騒でございます(笑)。

 

閑話休題

 

 『ブルックリンでオペラを』。ニューヨークでオペラ…というと、ヲタク的にはどうしてもメトロポリタン歌劇場のあるアッパーサイド界隈を想像して、(ブルックリン?随分かけ離れてるなぁ……。ブルックリン出身でオペラを目指す人の話?)と思ったんだけど、原題は『She Came To Me(彼女が僕のもとに降りてきた)』で、ヲタクが勝手に想像していた、『テノール!人生はハーモニー』や『ふたりのマエストロ』のようないわゆる「音楽モノ」ではなかったんでした。

 

 主人公は、才能に恵まれながらも神経がデリケートすぎて不安神経症に悩まされ、5年間どスランプ、全く新作が書けていないオペラ作曲家のスティーブ(ピーター・ディングレイジ)。彼は、美しくしかも家事能力も完璧な精神科医の妻パトリシア(アン・ハサウェイ)と、優秀で性格も良いイケメンの継子ジュリアン(エバン・エリソン)と何不自由ない3人暮らしでしたが、その「完全無欠さ」がかえって彼の創作意欲を減退させているようにもみえます。そんなある日、彼は立ち寄ったバーで、「曳き船」の船長をしているカテリーナ(マリサ・トメイ)と知り合い、一夜を共にします。性格も境遇も育ちも全く自分とはかけ離れた彼女でしたが、その日を境にスティーブの人生は激変して……!


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※ヲタク的には『ゲースロ』以来のピーター・ディングレイジ(左)。スティーブは、並外れた知力と財力でサバイバルする逞しいティリオン・ラニスターとは真逆のキャラですが、そのセクシーな魅力は健在!妻であるパトリシアが彼に対して既に恋愛感情がなくなっていても母性本能をくすぐられて放っておけないのも納得。

 

 甘くてほろ苦い、大人の為のロマンティックな寓話という感じ。スティーブをはじめとして、登場人物たちは皆、世間的には一応成功した部類に入っているのですが、それぞれ、過去の失敗やその時感じたトラウマを心の奥底に抱えて、前に進めないでいる設定。それが、ある出来事をきっかけに自らの来し方行く末を見つめ直し、大人たちが勇気を持って新たな人生へ踏み出していくストーリー。そのきっかけになるのが、スティーブの継子ジュリアンとGF(ハーロウ・ジェーン)の若く真剣な恋を応援する……というところにあるので、とても胸アツ、爽やかな後味です。しかし、過去にとらわれて右往左往している大人たちより、若い2人のほうがよほど冷静で客観的……というところが、ちょっぴり皮肉でスパイスが効いてます。脚本兼監督のレベッカ・ミラー(父親はあのアーサー・ミラー!)の手腕かな?

 

 そして、1番の見所は、キャスティングの妙味。男の色気に溢れつつどこか甘えん坊で母性本能をくすぐる主人公にピーター・ディングレイジ。彼を巡る両極端の女性2人……何もかもパーフェクト、超潔癖症が高じて修道院生活に憧れるようになるパトリシアに、まるでAIみたいな美貌(注・褒めてます 笑)のアン・ハサウェイを、そして一見「どこにでもいるフツーのオバサン」ふうでありながら、愛と生への意欲に溢れたエネルギッシュな魅力を持つカテリーナにマリサ・トメイを配したのはまさにグッジョブ!でありました。


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※まさに「降って湧いたように」スティーブのミューズとなるカテリーナ(右…マリサ・トメイ)。ヲタク世代だと、何と言っても『いとこのビニー』や『忘れられない人』(1993年)だよねぇ。若い人だったらスパイダーマンのメイおばさん…と言えば通りがいいかな?断続的にキャリアにブランクがある人だけど、気さくで人懐こいイタリア系女性の魅力は相変わらず。これからもどんどん活躍してほしい。

 

 日本だとロマコメって若い人たちの専売特許で、40代の女優さんたちってとかく回ってくる役がお母さんや叔母さんばかりになっちゃうけど、こういう「大人たちが主役のロマコメ」が日本でも生まれるといいよね。

 

 

アンドリュー・スコットの演技力に驚嘆〜Netflix『リプリー』

 
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 待望のアンスコさま主演『リプリー』がNetflixでついに配信開始!期待に違わぬ出来で、ヲタク、ストーリーは既に知っているというのに、エピソード(1〜8)が進む間中ドキドキが止まらなくて、結局昨夜は夜中までイッキ見し、今朝は廃人同様…トホホ。まっ、今日は仕事休みだからいいけど(笑)

 

 時は1960年代。職業も住所も経歴もわからない謎の男、トム・リプリーアンドリュー・スコット)。彼はニューヨークの片隅で、身分証明書や公証人刻印、信用状の偽造等で日銭を稼いでいる小悪党。そんな彼に「まともな」大仕事が舞い込みます。造船会社を経営する富豪のグリーンリーフが、「画家を目指す」との触れ込みでイタリアのリゾート地・アトラーニに行ったまま帰らず、彼の財産を食い潰している息子のディッキー(ジョニー・フリン)を連れ戻して欲しい、連れ戻してくれるなら金に糸目はつけないと。二つ返事で引き受けたリプリーは、初めて乗るオリエント急行、贅沢な食事、海辺のリゾート地に心躍らせるのでしたが、初めて出会ったディッキーは、才能もないくせに画家を自称し、作家を目指す美女マージ(ダコタ・ファニング)を恋人にし、「慈善行為」とうそぶいて詐欺師の女に大金を巻き上げられてしまうような放蕩息子の典型でした。彼の邸宅に居候するようになったリプリーは、特権階級の豪奢な生活を何の努力もせずに享受しているディッキーに対して次第に侮蔑と憎悪の感情を募らせていき……!
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※恋人ディッキー(ジョニー・フリン)がリプリーアンドリュー・スコット)に取り込まれるのを恐れ、リプリーを密かに憎むマージ(ダコタ・ファニング)。奇妙な三角関係が形成されていきますが…。


 とにもかくにも、アンドリュー・スコットの演技が圧倒的!冒頭の、オドオドして、いつも人の顔色を上目遣いに窺っているような※卑屈な態度から、取り返しのつかない犯罪に一旦手を染めるや、自信とカリスマ的魅力に満ちた、ミーナ・マッツィーニの気怠いカンツォーネや年代物のワイン、フェラガモの靴やロレックスの時計が似合うセレブな男に劇的に変化する、そのギャップが凄すぎる。

※アンスコさまって、人間のコンプレックスの表出をコミカルに演じるのがめっちゃ上手い٩(♡ε♡ )۶『リプリー』では、初めてディッキーに会うシーン。ディッキーとマージが海に遊びに行ったと聞いて、急いでリプリーが街の店で水着を買うんだけど、ぴっちぴちのブリーフしかなくて(^_^;)ブリーフ姿に皮靴っていう珍妙な姿で海辺に行くと、当のディッキーはラフなシャツ姿で砂浜に寝転んでるの。この時のアンスコさまの絶妙な表情に注目!

 リプリーは天性の詐欺師。アンスコさまがジョニー・フリン演じるディッキーを仕草から声色から英語のイントネーションから完コピする場面は、素晴らしすぎて寒気がした(笑)。この場面を見た時、監督のスティーブ・ザイリアンが何でわざわざ、アメリカ人であるリプリーに英国人(厳密に言えばアイルランド人だけど)のアンドリュー・スコットをキャスティングしたのか、理解できた気がしたわ。英国舞台の最高峰ローレンス・オリヴィエ賞を2度も受賞し、ハムレットチェーホフノエル・カワードユージン・オニールも何でもござれのカメレオン俳優、アンドリュー・スコット。まさにリプリーは彼のためにあるような役だった!

 

 リプリー海上のボートの上でディッキーを殺害するシーン。リアルに凄惨で、怖くて目を逸らしたくなったけど、アンスコさまの演技で、不謹慎にも時々吹き出してしまいました(^_^;)人間って、追い詰められた時思わぬ行動をとるでしょ?それをはたから見てるとどこか滑稽に見えるという…。その塩梅が彼、もう絶妙なんです。

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※ストーリーが進むにつれ、ダークヒーロー化していくリプリー。特に後半、彼の犯罪を執拗に追うローマ警察の敏腕刑事ラビーニが登場してからは、まるで「ルパン VS. ホームズ」みたいな展開に(^_^;)この2人の熾烈な心理戦には、手に汗握ります。

 

 リプリーは人間には興味を持たないようですが、絵画や彫像などの芸術にはかなり反応します。特に彼が心奪われたのが、ナポリの教会に飾られたイタリアン・ルネサンスの画家カラヴァッジオの「七つの慈悲の行い」。殺人者で詐欺師のリプリーが「慈悲の行い」って何の冗談かと思いますけどね(笑)しかし、ディッキーが冒頭リプリーに話して聞かせるカラヴァッジオの波乱の生涯(モデルにした娼婦の客引きを殺し、マルタやパレルモへ逃亡しながら絵を描き続け、結局客引きの仲間に捕まって顔を殴られ続けた末、死に至った)が、まるで彼らの行く末を暗示する前奏曲のようで、いかにも不吉でした。

 

 「リプリーは同性愛者なのでは?」という「匂わせ」は度々出てきます。原作者のパトリシア・ハイスミスもそうですし、ゲイであることを公表しているアンスコさまが主役を務めていることからしてそれは間違いないことだと思いますが、一方でリプリーとディッキーの間に果たしてそういった関係があったのか?となると想像の域を出ません。ただ、カラヴァッジオの作品「ダヴィデとゴリアテ」の解釈〜殺人する側と殺害される側は実は一体である〜を聞いた時のリプリーの動揺ぶりを見ると、彼のディッキーへの感情は、愛と憎悪、憧憬と侮蔑、様々な感情が絡み合った非常に複雑なものであったことが、想像に難くありません。


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カラヴァッジオ作『七つの慈悲の行い』


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カラヴァッジオ作『ゴリアテの頭を持つダヴィデ』

勝利の美酒に酔いしれて良い筈のダヴィデがなぜ、苦悶の表情を浮かべているのか……?

 

 アンスコさまはインタビューの中で

リプリーを単なる悪役と呼ぶのは安易ではないでしょうか。間違いなく、彼はアンチヒーローですよね。この物語と脚本の偉大な功績は、視聴者が必ずしも応援すべきではない誰かを応援してしまうことだと思うんです。ほとんどの視聴者は、彼に逃げ切ってほしいはずです。

と語り、作品のテーマについては、彼がかつてウエストエンドで演じ、絶賛を浴びたシェイクスピアの『ハムレット』の台詞を引用して次のように語っています。

コミュニティにおける特定の要因を排除したら、デンマークに何かよくないこと(=腐敗)が起こるのだ。

 

 『リプリー』は、彼が造型した魅力的なアンチヒーローの姿を通して、1960年代を舞台にしていながら、富者と貧者の二極化、マイノリティ差別と社会の分断、特権階級の腐敗など、現代においても私たちが抱える様々な問題を提示する上質なサスペンスだと言えるでしょう。

 

★今日の小ネタ

①メソッド演技

 アンスコさまは「リプリーは魅力的な役柄だけど、彼の生き方やイデオロギーは自分と全く違うから、演じるのに非常に苦労したよ。僕はメソッド演技はしないからね」と語っています。メソッド演技とは、俳優が疑似体験によって役柄を理解し、完璧に没入してしまう演技法。メソッド法の実践者であるアンドリュー・ガーフィールドが映画『沈黙 サイレンス』で鎖国時代の日本に来たキリスト教の宣教師を演じた際、役に近づく為一定期間完全なる禁欲生活を送ったと告白して、ドリュー・バリモアに「信じられなーい。ホントに禁欲ですって?彼、大丈夫?」と、さんざんネタにされたのも記憶に新しいですが(^_^;)同じアンドリューでも演技のスタイルはずいぶんと違うようです(笑)

②エリオット・サムナー

ディッキーの親友で、リプリーによるディッキー殺害に勘付いた為、リプリーの第2の犠牲者となってしまうフレディ・マイルズ。演じているのはエリオット・サムナーという歌手で、なんと女性。しかもあのスティングの愛娘です。エリオットはアンドリュー・スコット同様、同性愛者であることを公表しています。

 原作者のパトリシア・ハイスミスも同性愛者で、原作の舞台ともなっている60年代当時、アメリカでは同性愛が犯罪視されていたために随分苦しんだようですが、ドラマにも同性愛のイマージュが散見されますね。


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★おススメ度……★★★★☆

リプリーの結婚詐欺に引っ掛かって地獄を見てみたい(⇐アブナイ人 笑)

 

 

Number_iという完璧なトリニティ(三位一体)

 
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 「With Music」、「CDTVライブ!ライブ!」と続けて供給されたNumber_iの『GOAT』と新曲『Blow Your Cover』の素晴らしいパフォーマンス、そして彼らの「いま」を深堀りしてくれたインタビューは、現在の日本、いや海外も含めて、Number_iというグループがいかに稀有な存在であるかを如実に物語ってくれた!!

 

 韓国のボーイズグループが世界的に人気を博したことで、多人数による一糸乱れぬダンスやキャッチーで耳障りの良いメロディラインが音楽シーンの大勢を占めているように感じられる今日この頃。そんな中、Number_iが3人体制という少数精鋭で、デビュー曲は全編ゴリゴリラップ、ダンスも予定調和を打ち破る個性重視(あえて揃えない)、「鯉の滝登り」の如く世の趨勢に逆らって、既成の体制に殴り込みをかけた感があって、ロック世代のヲタクとしては嬉しい限り。「ニッポン男児ここにあり!」

 

 BYCのダンスを見てもわかるように、Number_iの御三方は可動域が物凄く広くて一つ一つの動きがダイナミックだから、3人でもTVの画面がめっちゃ狭く感じる。(ヲタクの動体視力では、『GOAT』は動きが速すぎて、彼らの超人的な可動域に気付くことができなかったのです ^^;)女性のダンスボーカルグループは、パフュームをはじめとして幾つか名前が上がるけど、男性の場合、世界を見渡しても思いつかない。あらゆる意味でNumber_iは革命的なグループだと思う。

 

 だいたいからして「3」って強い力を秘めた数字だからね。建築学的には、外力を加えた場合曲げモーメントは発生せず軸力しか発生しないため、ピラミッドに見られるように他の多角形に比較してトラス構造が最大限に強くなると言われているのは周知の通り。宗教学的にもキリスト教には「神と子と精霊の聖名において」の「三位一体説」が存在するし、「衣・食・住」「心・技・体」「政・官・民」など3つ揃って初めて完璧になる……という意味の単語も多い。

 

 岸優太、平野紫耀神宮寺勇太という「3人揃って初めて完璧となる」煌やかなトリニティが、音楽シーンにおいてこれからますます強大さを増していくのは間違いないでしょう。

 

 

 

 

アリ・アスターが好きそうだよね〜A 24ホラー『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』


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 オーストラリアの双子のYouTuber、フィリッポウ兄弟の長編映画第一作。サンダンス映画祭でかなり話題になった作品ですよね。

 

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※素晴らしかったヒロイン役のソフィー・ワイルド。この作品の演技で彼女は、AACTA(オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞)主演女優賞受賞、BAFTA(英国アカデミー賞ライジングスター賞ノミネート。

 

 母を亡くしたばかりの高校生ミア(ソフィー・ワイルド)は、母の死が睡眠薬の飲み過ぎによる自殺なのか、事故死なのか、はたまた一緒にいた父が実は母の死に関わっているのか、真相が知りたくても叶わないまま、鬱々とした日々を送っていました。人付き合いが苦手で、パーティでも1人浮いてしまうタイプの彼女は、たった1人の友人ジェイド(アレクサンドラ・ジェンセン)に依存気味で、彼女の家に入り浸っていますが、ジェイドにもBFができてあまり構ってくれなくなったため、寂しさを持て余していました。そんな時、ひょんなことからSNSで話題の「#90秒憑依チャレンジ」(昔の19世紀末に欧米で流行った「降霊会」ですよね?)に参加することに。ルールはしごくお手軽で、セラミック製の小道具である「手」を握り、「Talk to me」「Let me in」と唱えると、一瞬で手を握った人に霊が憑依する……というもの。ただし注意点は、必ず90秒以内に「手」を離すこと。 90秒以上手を離さないでいると、霊が憑依したまま体外に出ていかない、それは本人が死ぬまで続く……というのです。麻薬にも似たハイなトリップ体験は若者たちをトリコにし、彼らはスリルを求めて何度も憑依チャレンジを繰り返しますが、ある夜、想像を絶するリアルな恐怖体験が彼らを襲い……!


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※ヒロイン・ミアとは対象的な、家族思いのしっかり者ジェイドを演じたアレクサンドラ・ジェンセン。この時の好演により、AACTA助演女優賞にノミネートされました。

 

 アリ・アスターがこの映画を絶賛したらしいけど、(あー、わかるわかる)って感じ。だって、ヒロインであるミアの、対人恐怖と表裏一体になっているみたいな関係依存症、承認欲求の強さ、自己肯定感の低さがまるで『ミッド・サマー』のヒロイン(フローレンス・ピュー)の裏バージョンみたいだから(笑)何をやっても精神的に負のループに入って堂々巡り、それじゃもう、詐欺にも引っ掛かるし、カルト信仰にもつけこまれるし、霊にも取り憑かれるわよ(ジェイドのママの発言で、ミアはかつて麻薬にハマっていたことがほのめかされています。元々依存症体質だし、洗脳されやすいタイプなわけ)

 

 友情も恋愛もSNSで手軽に始められる現代、生死を扱う事柄すらもハッシュタグつき……っていうね。人気YouTuberのフィリッポウ兄弟だけあって、(果たして本当に霊が取り憑いているのか?はたまたメンヘラヒロインの妄想の所産なのか?)というホラーの王道はきっちり押さえつつも、現代の世相を鮮やかに切り取る手法は斬新で、「新感覚ホラー」って銘打つだけあるかも。あのA24の製作だしね。

 

 PG12なんですよね、これ。描写はかな〜りグロテスクで残酷、流血の惨事。ホントにPG12で大丈夫かなぁ……おばさん心配だよ、ぶつぶつ。良い子はあまり見ないほうがいいかも(笑)

 

★おまけ

 ヒロインを演じたソフィー・ワイルド、めっちゃ美人だし演技上手いし、今度は血と涙でぐちゃぐちゃのホラーじゃなくて、別の作品で見たいわ……と思ったら、あらら別の話題でごく最近ネットを賑わしてたんですね。『アスター・サン』の好演で日本でも認知度が高まったポール・メスカルとの交際報道が!(おや、素敵なカップル💑)と思いきや、今度はポールくん、NY大卒の知的美女、アヨ・エデビリと恋のウワサが……。

おいポール、どっちかはっきりしなさいっ(笑)


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※ポール・メスカル(中央)を挟んで、どちらが本命?なソフィー・ワイルド(左)とアヨ・エビデリ(右)。

 

 

 

 

 

BYCがウワサに違わずヤバかった〜Number_i in 『CDTVライブ!ライブ!』(2024.4.1)

 昨夜の「CDTVライブ!ライブ!」TV初披露のNumber_i『Blow Your Cover』。

 

 うわー、ヤバかったね、ヤバかったね(語彙力が……^^;)『To Heroes』のBYCもヤバかったけど、今回は一人ひとりの表情が克明に見えるぶん、沼の深みが底しれなくて、翌日仕事で早く寝なくちゃいけないのに、廃人になるってわかってるのに、際限なくリピしてしまった……トホホ。

 

   「この曲は表情が大事」「すっごく繊細」(神宮寺)、「切なくなってくる。曲がそうさせてくれる」(平野)、「力を溜め込んで」(岸)、「……でもそれを出しすぎない」(神宮寺)と、打ち合わせの時からすでに曲に憑依されちゃってる?3人でしたから、本番はもう……言わずもがな。インスタの平野くんじゃないけど、ええええもう、見てるこっちは溶かされましたよ、ドロドロに溶けて跡形もないわ(笑)


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 岸くんって、こういう表情するんだねぇ……。ハイ、まんまとヤられていっちょ上がり!(笑)沈むシーツに昨夜の情景を追い求めても、「愛させて Once Again」と呟いても、空っぽの部屋に虚しく響くだけ。「耐える」イケメンはセクシーだし、苦悶の表情がよく似合う。

うん!これぞまさしく「大人のうー」に違いない(笑)

 

 どうにもならない辛さを全て飲み込んで、耐えて、微かに微笑んでみせるのがオトナの男の恋なら、『CDTVライブ!ライブ!』のNumber_iは、曲の世界観を余す所なく表現してみせたと言っても過言ではありますまい。

 

 ……しかしあれだね、「BYC」って、エロ切ないオトナの恋を表現する代名詞になりそうじゃない?

「俺と彼女との距離……?まだBYC」とか?(笑)


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※BYCのMV、きっとドラマチックな内容になるんだろうなぁ٩(♡ε♡ )۶『GOAT』に引き続き、めっちゃ中毒性のある作品になりそう。

 

 

 

 

 

 

  

 

アイルランドに行きたい〜〜っ!!〜Netflix『アイリッシュ・ウィッシュ』


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 Netflixの新作『アイリッシュ・ウィッシュ』鑑賞。主演はリンジー・ローハン

 

 いつの頃からかアイルランド大好き❤(昔はエール共和国って言われてました)念願叶ってアイルランドに1週間旅行した時には、見るもの聞くもの夢のように素晴らしくて、きっとじぶんは前世アイルランド人じゃないかと思ったほど(⇐アブナイ人^^;)アイルランドが舞台の映画やドラマ…と聞けば内容はどうあれ、絶対に観るヲタク。昨年観た『イニシェリン島の精霊』は確かにオールアイルランドロケで、風景は綺麗だった筈……なのに、何しろ登場人物の憎しみや侮蔑、差別などマイナス感情が怒涛のように渦巻く作品で、景色を楽しむ余裕がなかった(笑)その点今回は王道のロマコメなので、アイルランドの溜息が出るような美しい風景が堪能できました!


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※雨が降ったかと思えば一瞬のうちに晴れるアイルランドの気候。そのため木々の緑が美しく、「エメラルドの島」の異名をとります。

 

 売れっ子ロマンス作家のポール・ケネディ(アレクサンダー・グラホス)の優秀な編集者マディ(リンジー・ローハン)。じつは彼の新作は殆どが彼女のアイデアによるものでした。割に合わないゴーストライターを務めているのも、彼を密かに愛していたからこそ。ところがポールは彼女の親友エマ(エリザベス・タン)に一目惚れ、あれよという間に電撃結婚へ怒涛の展開。式はポールの故郷であるアイルランドのウィックローで行われることになり、傷心のままブライズメイドとして彼らに同行することになったマディですが、ある日景勝地のテイ湖のほとりで願い事を叶える超能力があるらしい?不思議な女性に出逢います。思わず「ポールと結婚したい」と呟くマディ。しかしさあ大変、彼女が願いの言葉を口にした途端、嵐が巻き起こり…!!


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※マディの憧れの地、モハーの断崖

 

 アイルランドを舞台にした、「ロマコメ時々ファンタジー」なストーリー(笑)でも、アイルランドだからこそ成立した作品だったと思うんですね。アイルランドって、田舎に行けば行くほど、土着の妖精信仰や言い伝えがまだ息づいているような国だから……。


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※マディが不思議な女性に出逢ったテイ湖(グレンダーロッホ)。

 

 マディが野性的な「モハーの断崖」の光景が好きで、本当はそこで結婚式をあげたいのに都会派のポールに合わせてキライなふりをしていたり、愛読書は皮肉と風刺満載のジェームズ・ジョイスなのに正統派のディケンズが好きと言ったり、自転車を飛ばすアウトドアな彼をフラつきながら必死で追いかけたり……と、好きな相手に過剰適応しまくってて、恋愛真っ最中の女子なら身につまされることでしょう。

 

 お騒がせいろいろで一時芸能活動から遠ざかっていたリンジー・ローハン。2年前のやはりNetflix作品『フォーリング・フォア・クリスマス』で久々にリンジー復活!って感じでした。今作品もその延長線上といったところ。『フォーリング〜』では実際の彼女に寄せたセレブの役どころでしたが、今回は昔から本の虫で運動オンチ、ダンスも踊れないガリ勉の設定(^_^;)『ミーン・ガールズ』の「ジングルベル・ロック」、セクシーダンスを覚えている世代としては、ちょっとギャップ大きめ(笑)典型的なアメリカン・ガールから一転、大人の魅力を纏って、帰ってきたリンジー。落ち着いた、きめ細やかな演技が素敵なので、これからも頑張ってほしいな♬

 

 ……ただ、ポールの実家であるケネディ邸がダブリン(アイルランド東部)の近くなわけでしょ。そこから最西端のモハーの断崖まではいくら時速100キロくらいでぶっ飛ばしても日帰りはできないと思うのだが……。


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まっ、細かいことは言わないことにしよう(笑)